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経営品質協議会

(財)日本生産性本部




 世界の政治・経済の枠組みは新たな局面を迎えている。2008年秋の金融危機以降、G20、COP15での議論の経緯を見ても明らかなように、従来の概念で世界情勢を俯瞰することはもはや意味を成さず、わが国の経済・産業はその存立基盤を早急に立て直す必要に迫られている。政権交代後の国内政治に環境整備を期待しつつも、日本の国力を維持・発展させていくには産業界が主体的に競争力を高めて行く以外に方策はない。各国経済・産業との共生と競争をいかに両立して持続可能な社会・経済システムを構築するのか、「日本的経営」の独自性を十分に維持しつつ、グローバルな視点で世界企業と交信しうる共通規範の新たな確立が求められているといえよう。
 一方、実体経済の深刻な低迷が続く国内に目をむければ、主要な経営課題には次の二つがある。その第一は、急激に変化する企業と顧客との関係である。情報技術とグローバル化の急速な進展により、企業と顧客はさまざまな次元でその距離を急速に縮めた。しかしながら先行き不透明な中で顧客はその購買行動を厳しく見直しており、企業にとってこれまで顕在していた顧客が急速に息を潜めて潜在もしくは消滅に向かい始めている。いかにして新たな時代に顧客が求める価値を創造するのか、これに対応する経営システムをどのような観点から変革していくのか、経営革新の内容が問われてくる。
 その第二は、経営組織における課題である。価値の多様化が進む中で、同じ組織で働く社員間の意識や行動が急速に分散しつつある。これに加えて現下の経済状況を乗り切るために、事業の縮小によって組織の風土や文化という目に見えないものも同時に切り捨てられ、社員の意識や行動がさらに混沌とした状態になりつつある。いかにして社員が生きがいを持ちながら顧客の求める価値を創造し続けることができるのか、企業が目指す方向のもとに社員が統合し、創造的で俊敏な経営組織を再構築するための新たな論理が求められている。
 時代の大転換期であるいまこそ、「事業の目的は顧客の創造」といわれる経営の原点に立ち返り、生き生きと働き続ける社員のもとで顧客の求める価値を創造し続ける経営体質づくりを行うことによって、来たるべき景気回復に備えることが重要ではないだろうか。

 
 1995年12月に創設した「日本経営品質賞」は、顧客の視点から経営を見直し、自己革新を通じて顧客の求める価値を創造し続ける組織を表彰する制度である。本年で15年目を迎える本賞は、米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)、欧州経営品質賞(EQ賞)とともに、世界各国から注目を集めている。本書は、将来の創造に向けて、現在の成果を生み出したこれまでの経営を体系的に振り返るための基準である。この基準書は、時代の変化とともに常に新しい経営の考え方を取り入れており、企業・組織が経営革新に取り組むにあたって、有益で実践的な示唆に富む多くの内容が盛り込まれている。是非ともこの基準書を活用して、経営革新を進めることを願ってやまない。

 われわれの願いは、非営利組織を含む日本の企業・組織が顧客価値の創造のための経営革新を進め、その成果をわが国全体が共有化することで、新たなエネルギーが生み出されることにある。


日本経営品質賞委員会
委員長 佐々木 元